「ビジネスの成長に、ITインフラのコストと性能が追いつかない」
「大手ベンダーの高価なSANストレージの更新費用に頭を悩ませている」
「クラウドへの移行も一長一短。自社でデータを管理しつつ、クラウドのような柔軟性が欲しい」
これらは、多くの中小企業のIT担当者が抱える、切実な悩みではないでしょうか。
本記事では、こうした課題を解決するための、新しい選択肢を提案します。それは、オープンソースソフトウェアと、市場で実績のあるサーバーグレードのコンポーネントを組み合わせることで、エンタープライズ級の性能と可用性を、圧倒的なコスト効率で実現する、カスタム設計のハイパーコンバージドインフラ(HCI)です。
これは単なるコスト削減の話ではありません。InfiniBandとRDMAという、これまで一部のスーパーコンピューターや巨大データセンターでしか使われてこなかった技術を中核に据え、あなたの会社のIT基盤を、ビジネスを加速させるための「攻めの武器」へと変貌させる、戦略的なIT投資の提案です。
1. なぜ「遅延」がビジネスの足かせになるのか?
今日のビジネスアプリケーションにおいて、性能のボトルネックはもはやCPUの計算速度だけではありません。サーバーとストレージ、あるいはサーバー間でデータをやり取りする際の「遅延(レイテンシー)」こそが、アプリケーションの応答性や、バッチ処理の完了時間を決定づける最大の要因となっています。
従来のネットワーク(TCP/IP)では、データ転送のたびにOSのカーネルが介在し、CPUリソースを消費します。これは避けられない「OSの税金」であり、どんなに高速なSSDを導入しても、この根本的な遅延からは逃れられません。データベースのトランザクションが遅い、VDIの画面描画がカクつく、といった問題の根源は、多くの場合このネットワークI/Oの遅延にあります。
この問題を解決する鍵が、RDMA (Remote Direct Memory Access) です。RDMAは、OSやCPUを完全にバイパスし、アプリケーションがリモートサーバーのメモリを直接読み書きすることを可能にします。これにより、通信遅延をTCP/IPの数十分の一、数百分の一であるマイクロ秒単位にまで削減し、CPU負荷をほぼゼロにします。
このRDMAの性能を最も効率的に引き出すために設計されたネットワークがInfiniBandなのです。
2. アーキテクチャ設計思想:最高のTCO(総所有コスト)を求めて
我々が提案するHCIは、最高の性能を追求しつつも、中小企業にとって最も重要な指標であるTCO(総所有コスト)を最小化するように設計されています。
基盤:デュアルCPUプラットフォームと潤沢なPCIeレーン
高価な最新CPUを追い求めるのではなく、市場でその性能と信頼性が証明されたサーバーグレードのデュアルXeon E5 v4プラットフォームを選択します。これにより、以下のメリットを享受できます。
- 圧倒的なI/O性能: CPU2基で合計80本ものCPU直結PCIeレーンを確保。ストレージ(NVMe)とネットワーク(InfiniBand)が、チップセットという共有バスのボトルネックを経由せず、CPUと直接通信することで、性能を最大限に引き出します。
- 優れたマルチタスク性能: 合計28コア56スレッドといった潤沢なCPUコアにより、多数の仮想マシンやコンテナを余裕をもって集約・実行できます。
- 広帯域なメモリ: 8チャネルメモリ構成により、インメモリデータベースや大量のVMが必要とする広大なメモリ帯域幅を、コスト効率高く確保します。
ネットワーク:InfiniBandによるデータプレーンの確立
56Gb/sのMellanox InfiniBand製品群は、RDMAを安定して利用するための、費用対効果に優れた選択肢です。管理用の通信はオンボードのEthernetで行い、最も性能が求められるストレージとライブマイグレーションの通信(データプレーン)をInfiniBandに完全に分離することで、安定性と最高性能を両立させます。
3. ソフトウェアスタック:オープンソースで実現するエンタープライズ機能
高価なライセンス費用は、もはや過去のものです。オープンソースソフトウェアを組み合わせることで、大手ベンダーの製品に匹敵、あるいはそれを超える機能性と柔軟性を実現します。
仮想化基盤:Proxmox VE
KVM(仮想マシン)とLXC(コンテナ)を統合管理できる、ライセンス費用不要の強力な仮想化プラットフォームです。直感的なWebインターフェースで、日々の運用を簡素化します。
ストレージOS:LightOS
この構成の心臓部です。LightOSは、RDMAを前提として設計された次世代の分散ストレージOSであり、以下の機能を提供します。
- NVMe-oFによる共有ストレージ: クラスタ内の全サーバーのNVMe SSDを束ね、InfiniBand RDMA経由で接続された一つの超高速な共有ストレージプールを形成します。
- 高い可用性: データはクラスタ内の複数サーバーにリアルタイムで複製・保護(3重化レプリケーションやイレイジャーコーディング)され、サーバー1〜2台の障害にも無停止で耐えられます。
- エンタープライズ機能: スナップショット、クローン、シンプロビジョニングといった、高価なSANストレージが持つ機能を標準で提供します。
実行環境:LXC (Linuxコンテナ)
ゲストOSがLinuxで良い場合、VMの代わりにLXCコンテナを利用することで、オーバーヘッドを劇的に削減できます。LXCはホストOSのカーネルを共有するため、I/O性能はほぼ物理マシンと同等です。これにより、1台のサーバーにより多くのアプリケーションを高密度に集約でき、ハードウェアコストをさらに削減します。
4. 導入効果:あなたのビジネスは何を得るのか?
この次世代HCIを導入することで、あなたのビジネスは具体的なメリットを享受できます。
- 圧倒的なアプリケーション性能:PostgreSQLのような基幹データベースのトランザクション処理が劇的に高速化します。RDMA上で動作するLightOSは、FC-SANに匹敵する超低遅延なI/Oを実現し、顧客向けサービスの応答性や、社内業務の処理速度を向上させます。
- 俊敏で無停止なインフラ運用:ProxmoxとLightOSの共有ストレージにより、VMやLXCの無停止ライブマイグレーションが可能になります。ハードウェアのメンテナンスやOSのアップデートが必要な際も、業務を止めることなく、サービスを継続できます。
- ビジネスの成長に追随する拡張性:将来、性能や容量が不足した場合は、新しいサーバーをクラスタに1台追加するだけで、計算能力とストレージ性能が同時に向上します。高価なストレージコントローラーの買い替えは不要です。「小さく始めて、大きく育てる」という、ビジネスの成長に合わせた柔軟な投資が可能です。
- TCOの大幅な削減と脱ベンダーロックイン:高価なハードウェアやソフトウェアライセンスから解放されることで、ITインフラのTCOを30%〜50%以上削減することも夢ではありません。オープンソースを基盤とすることで、特定のベンダーに縛られることなく、常に最適な技術を自由に選択できます。
貴社のITインフラは、ビジネスの成長を支える「資産」ですか?それとも、コストばかりがかさむ「負債」ですか?
もし現状に課題を感じているなら、今こそ新しいアーキテクチャを検討する時です。実績のあるサーバーコンポーネントと、最先端のオープンソースソフトウェアを組み合わせることで、あなたのビジネスを加速させる、コスト効率に優れた高性能なIT基盤を共に構築しましょう。
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