日銀と政府の役割の違い

どちらもお金に関する政策を策定・実施しますが、それぞれに政策の目的が異なります。

端的に言うと、日銀の目的は物価の安定です。物価の安定なので、景気や国民の所得には責任を持ちません。景気や国民の所得について責任を持つのは政府です。

昨今物価が上がって家計が苦しいと言う人が多いと思います。物価高対策として政府が様々な施策をしていますが、これは物価高を抑えようという施策では無いです。所得水準を引き上げるための施策である事がほとんどです。

では物価高はいつまで続くのかと言うと、今のところ言えることは、永遠に続くという事です。

日銀の金融政策としては、『インフレ目標2%』が長年の目標です。

物価の上昇局面に於いては、現預金を蓄えるのと、物に投資するのとではどちらが得でしょうか?インフレは貨幣価値が下がりますので、物に投資する方が得をしますね。

すると国民の現預金は減り、お金が循環するようになります。

ですので、金融政策としては、緩やかなインフレが正義なんです。

デフレ局面からインフレに切り替わった今は沢山借り入れをして、沢山投資する事が最善手です。

為替介入を行うのは財務省である事が大半です。財務省は国の予算に責任を持ちます。為替の変動に対して基本的には介入する理由はありませんが、予算に影響する場合、つまり急な変動があると困ります。緩やかな傾向としての変動は静観しますが、急変する時は介入します。

一時期1ドル150円前後で介入していましたが、今日時点は155円ですが介入はしていません。為替そのものの目標値がある訳ではなく、変動幅に対して許容範囲があるという事です。

政府、特に経済産業省は為替をどう見ているでしょうか。

経済産業省としては、経済が活発になる事に責任があります。その起爆剤としては海外からの投資を招きたいわけです。海外からの投資を招くには、円安と円高のどちらが良いか。明らかに円安です。円が安ければ日本株も割安になるので、日経平均も高くなります。

政府は、昨今の円安傾向に対して国民所得や中小企業への支援策は行うものの、本質的な円安是正策を打たないのはそういう理由からです。また、これらの支援策は円を供給することになるので、インフレを起こし円安になる政策です。日銀の政策と政策の政策がよく噛み合っていますね。

暫くは大きな政策変更は無いでしょうから、資産を海外に移転するなら早い方が良いですね。そして現預金は現物資産や株に替えましょう。

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この記事を書いた人

金重総合研究所の主席研究員。
子供の頃から研究者を目指し、ライフワークとして日々様々な研究をしています。
経営・マネジメント・金融・DXあたりが本職です。
私を採用したい人、私と一緒に働きたい人、一緒に知識を肥やしていきたい人はぜひお声がけ下さい。

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