前回は借入の必要性について説明しました。
今回は実践編として借り方を説明します。これも学校で教えてくれないのはなぜなのでしょうか。
いざ借入をしようと思ったときに、何から始めればよいでしょうか?
勉強熱心な経営者さんは本などで『事業計画書を書く』と思っているかもしれません。実際にそのように書いてある書籍は沢山あります。
私たちの経験からすると、数千万円までであれば、事業計画書はいりません。
え?と思うかもしれませんが、それが実体です。
ただし、借入の申し込みをする際に、いろいろと所定の書式にいろいろなことを書くことが求められます。その中に事業計画書に近しい内容も含まれることがあります。
難しいことを考えず、言われた書類に書き込んでいくだけで大丈夫です。
借入は『商品』です。銀行の営業マンは商品を売っています。買ってもらうために丁寧に書き方を教えてくれますので、安心しましょう。
さて、そんな『商品』ですが、いくつか選択肢があります。お得な順に書くと以下のようになります。
1.制度融資
制度融資とは、市区町村や都道府県が融資制度を設けているので『制度融資』と呼ばれます。役所の商工課などに相談に行くと案内してもらえます。『あっせん融資』とも言いますが、役所で審査をして、民間の(地元の)金融機関を紹介・あっせんするという流れです。
制度融資の何がお得なのかというと、利子補給と保証料補助があります。もちろん自治体によって制度は異なりますが、実質的な金利が0.2%/年ということもあります。もはやタダでお金を借りられるといっても過言ではないです。
保証というのは銀行にとっての保険です。融資が焦げ付いた(貸したお金が回収できなくなった)場合に、信用保証協会が9割あるいは10割を肩代わりしてくれる仕組みです。信用保証協会は各都道府県に設置されている公的機関です。制度融資の場合は基本的に保証協会付きの融資です。
役所の審査の後で、銀行の審査に入るわけですが、銀行から保証協会に審査依頼が行きます。保証協会の審査が通れば銀行としてはリスクがほぼ無いため、その後の銀行内の審査で落ちるということはほぼ無いです。
創業間もない企業だけが使える制度融資もあるので、初めての借り入れであれば、まずは役所で相談してみるところからが最適解です。
2.プロパー融資
プロパー融資は、制度融資・保証協会付き融資とは異なり、銀行独自の融資です。初めて借入を行う場合は、基本的にはプロパー融資はありえないです。前回ご説明した通り、信用がないとプロパー融資は審査が通りません。とはいえ、初回取引からいきなりプロパー融資ということもゼロではないです。私たちもそのような経験があります。
銀行にとってはリスクが高いですが、その分利益も高い商品です。保証協会が間に入らない為、保証料の負担がありません。そういう意味で制度融資の次にお得な商品ということになります。制度融資から初めて信用力を積み上げ、プロパー融資をしてもらえるように関係性を構築していきましょう。
3.公庫融資
民営化によって一応民間企業(株式会社)ですが、実態としては国が運営していると考えてよいです。株式会社日本政策金融公庫という名称が正式名です。似たようなところで日本政策投資銀行というのがありますが、こちらは全く別物なので間違えないようにしましょう。
公庫の融資は、基本的には民業圧迫にならないように配慮されます。つまり、民間の金融機関で融資を得られない場合に公庫が融資を行うという立ち位置です。それはどういうときかというと、創業間もない時で信用力がない時、あるいは業績不振やコロナなどの社会情勢の変化があったときです。制度融資が使えないときに公庫を使うとよいです。ただし、公庫の融資は信用力の積み上げなどは基本的にありません。では全くメリットがないかというとそうでもないです。
公庫の融資では基本的に経営者保証が不要です。連帯保証人というものですね。制度融資やプロパー融資でも最近の社会情勢として経営者保証を極力つけないようにという流れはあるものの、実態はまだまだ経営者保証が必要です。その中で、公庫は国策銀行ですので、経営者保証なしで借りることができます。返せなくなっても、経営者個人に肩代わりを求められることがない、という意味でとても良心的ですね。
いかがでしょうか?お金の借り方3パターンでした。
いずれのパターンで借りるにせよ、必要なのは『明るい未来を描いている』という姿勢で挑むことです。暗い未来しか描けないと、銀行も貸せないです。ですので、いかに未来が明るいのかを説明できるようにしておく必要があります。
借り方がわかれば、怖いものはありません。臆せず堂々と借り入れをしましょう。
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